
スモーキーマウンテン住民支援事業
環境教育を進め、貧困のスパイラルを断ち切る!
LOOBでは2007年からイロイロ市のウェストリサイクラーの住民組織(UCLA)に対し、生活の質を向上し、貧困のスパイラルを断ち切るための活動を実施しています。
支援に参加する
ごみ処理場周辺コミュニティをサポートして頂ける方は、ぜひ下記のページからご参加をお願いします。
1. フィリピンのごみ処理について

経済発展による廃棄物の増加、追いつかない埋立場建設
フィリピンには81の州があり144の市と1,490の町があります。最下の行政単位バランガイは41,995あります。人口増加と生活スタイルの変化により廃棄物は増量している一方、市民教育が追いついておらず、廃棄物処理・管理はフィリピンにとって大きな問題です。フィリピンのごみ処理に関しては、2000年に共和国法第9003号固形廃棄物管理法が施行され、市町村による衛生埋立場の建設とリサイクル率上昇、バランガイレベルでの資源回収施設(MRF)設置などが定められました。
ドイツ技術協力会社(GTZ)が2005年頃まとめた資料によると、フィリピンのごみ排出量は全国で1日当たり36,000トン、マニラ首都圏で8,600トン。ごみ処理施設は、衛生埋立処分場(Sanitary Landfill)が45箇所、昔ながらのオープンダンピング(Open Dumps)または埋立 (Controlled Dumps)方式が946箇所あり、このうち69箇所で衛生埋立場に転換中とのことでした。
2020年のDENR発表によると、同法成立から20年で衛生埋立場の建設は189(1,634の市町村の8.6%)、またバランガイでのMRF設置は13,612箇所(41,995のバランガイのうち32%)にしか達してないそうです。【さらに詳細を見る】
2. イロイロ市衛生埋立場 基礎データ(2021年)
次にLOOBが活動するイロイロ市の状況を見てみましょう。イロイロ市郊外のカラフナンというバランガイに、人口45万人から出るごみを一手に受け入れるごみ処理場があります。住民からはBasulahan(ごみ箱)と呼ばれ、1986年の開設から2016年までの30年の間、オープンダンピング法でごみが集積されてきました。このため、大量のハエ、強烈な悪臭、汚水の流出、危険廃棄物、ガス等による火災が発生し、周辺の生態系への影響が心配されています。特に乾季は火山のようにごみの下からプスプスと白い煙が吹き出し、これがスモーキーマウンテンと呼ばれる所以になっていました。
カラフナンの人口は約4,000人で、2021年現在はこのうち約10分の一の住民がごみ処理産業に関わっています。資源ごみを回収するウェストリサイクラーのほか、ごみ収集トラック業の従事者です。ルールでは禁止されていますが、親の収入を補填するため、10代の子ども達が資源ごみ回収に従事する姿もあります。
固形廃棄物管理法に沿って、イロイロ市では2009年にバランガイ単位での分別回収が義務化されました。しかし、罰則がないため住民は未分別のごみを出し、市から委託された収集業者が回収し、ごみ処理場に集積します。では誰が、ごみを分別しているのか?カラフナンの住民であるウェストリサイクラーの方々が分別・資源回収を担っている状態です。LOOBではイロイロ市と協働して市民のアドボカシー作りや学校でのリサイクル&環境教育に注力しています。【さらに動画を見る】

3. ウェストリサイクラーの支援活動
フェアトレード14年継続!子ども達のドロップアウトも3分の1に!
LOOBでは2007年から、イロイロ市ごみ投機場の管理主体であるイロイロ市公共サービス局(GSO)および教育省(DepEd)と連携して、ウェストリサイクラー住民組織(UCLA)への支援活動を行っています。フィリピンの目覚ましい経済発展の裏で、構造的な貧困により一生懸命働いても、働いても、絶対貧困線から抜け出せない人が多いためです。貧困のスパイラルを断ち切るため、①フェアトレードによる生計支援と②教育サポート/ユースリーダー育成の2本立てで行っています。
10年以上にわたり、大人から子どもまでコミュニティ全体を巻き込んで活動してきたことで、目に見える成果が出ています。フェアトレードの裁縫チームは2021年で14年目となりました。また、LOOBで2009年、2015年、2019年に、UCLAメンバーの子ども達(6~18歳)に就学状況の聞き取り調査を行った結果、2009年には「1年以上、休学したことがある」子どもは全体の46%もいましたが、2019年には14%まで削減したことが分かりました!【さらに詳細を見る】
マングローブ植林の写真
4. ユース世代への環境教育活動

世界のプラスチックごみ汚染を自分事にとらえ、持続可能な循環型のリサイクル社会を創るにはどうしたらよいのでしょうか?LOOBは、自らの行動に責任を持ち、社会を変えていけるユースリーダーを育成するため、日本とフィリピンのユースを巻き込んだ様々な環境教育を行っています。イロイロ市民が家庭ごみを適切に分別・リサイクルすれば、ウェストリサイクラーの衛生環境は格段に改善し、効率的に収入を得られるようになります。次世代を担う子ども達の環境教育は、資源循環型社会の形成に向けてとても重要になっています。
カラフナンの状況や教育調査に関して
さらに詳しい下記ブログをご覧ください。