特定非営利活動法人LOOB JAPAN

Vol.4 コロナウイルス対策支援(こんなときこそ青少年のエンパワーメント)

世界各地に広がった新型コロナウイルスにより、フィリピンでは2020年7月の成人人口の失業率が45.5%に上る(2020年7月SWS調査)など、貧困層の増加が深刻化しています。イロイロ市およびパナイ島の貧困コミュニティでも外出自粛や商業の閉鎖による大きな影響が出ています。LOOBでは2020年3月20日から5月20日までのロックダウン中は、スタッフの安全を一番に考え、現場での活動を停止しました。一方で、新しい収入源を確保するため、4月からオンライン研修の開発に注力し、日本とフィリピンのメンバー交流に力を入れています。
このページでは、オンライン研修事業の収益を用いて、2021年8月現在までに実施している緊急支援と中長期支援の内容をご報告いたします。コロナ前から継続的に実施している支援プロジェクトについては、こちらをご覧ください。

1.緊急!最貧困コミュニティでの食糧支援と状況調査

2020年5月21~23日

イロイロ市カラフナン村で60世帯に対し、1か月分の食糧支援に相当する緊急支援金を給付いたしました。子どもの学校に関する調査では、6月の新学期から学校に行かせると回答した世帯が8割以上となりましたが、2割のご家庭はコロナ感染の不安と経済的な状況から躊躇していると回答しました。

2.若者に力を!SDGsユースエンパワメント

2020年6月から2021年8月現在継続

学校閉鎖のユース世代(13~25歳)を対象に、SDGsユースリーダー育成セミナーを開催しています。本セミナー修了者は、LOOBが実施するSDGsアカデミア学修プログラムの認定ファシリテーターとして活躍し、Cash-for-Workで臨時収入を得られるようになりました。2020年4月から2021年8月までに35人のファシリテーターを養成しました。

3. 漁村コミュニティでマスク制作

2020年6月~7月

イロイロ市校外にある漁村ナムコン村で布マスクの制作・販売を行うマイクロビジネスの起業を支援しています。コロナの感染防止と仕事のない女性達の収入向上のための裁縫プロジェクトです。1日100枚の生産能力があり、地元イロイロ市はもちろん、アメリカからも受注するようになりました。

4. 外出規制が解除、コミュニティのコロナ対策

2020年6月~12月末

イロイロ市ごみ処理場があるカラフナンの役場と公立小学校に、手洗い用タンク(足踏み機能付き)を2機設置しました。地域の小学校をベースに保護者世帯に衛生キットの配布を行うほか、衛生ワークショップ(対面もしくはオンライン)を開催する予定です。NGOと学校関係者が連携し、子どもから親・地域へコロナ感染対策を拡散し、クラスター感染が発生しやすいスラムでのコロナ感染予防を強化します。

5. ついに学校再開!学習の支援へ

2020年10月1日~2021年8月末

新学期が4ヵ月遅れて10月5日にようやく全土で再開しました。LOOBが支援する貧困地域の公立小学校では、“Distance & Modular”方式という遠隔プリント学習が採用されました。児童は2週間分のプリントを自宅で自主学習し、保護者代表が学校に届け、先生がチェックする仕組みです。LOOBでは自宅学習を十分ケアできないご家庭に先生と家庭がいつでも電話相談できるAmlig Educasyon Hotlineの設置を支援しました。

6. ごみ回収で1ペソをもらおうキャンペーン

2020年10月15日から継続。

多くの市民が仕事を失っている中、消費も落ち込み、有価物のリサイクルで生計を立てるウェストリサイクラーの方々は収入が激減しています。LOOBではごみ処理場のコミュニティで廃棄されたジュースパックを再利用した小物制作を行っていますが、この素材も少なくなり生産能力が落ち込んでしまいました。

そこで、ジュースパックを1ペソで買い取るキャンペーンを実施しています。LOOBの中高生リーダー組織はもちろん、近隣のバランガイ(町内会)・教会・学生団体ともネットワークを組んで、12月までに10,000枚以上の回収を目指しています。これによって、ポイ捨てを考え直し、Trash to Cashを広めています。

7. ウェストリサイクラー世帯への衛生キット配布

2021年1月12日

ウェストリサイクラーの子ども達である中高生リーダーが中心となり、350世帯にコロナ予防の衛生キット配布を行いました。マスク、フェースシールド、ビタミン剤、アルコール消毒液などをお配りしました。特にウェストリサイクラーは不衛生な環境で仕事をしていることから、アルコール消毒液を非常に喜んでくれました。

8. 大学生にタブレット配布

2021年5月12日

フィリピンの大学はコロナ禍でほとんどがオンライン授業に切り替わりました。スマートフォンでは授業には参加できますが、レポートを作ったりすることはできません。支援地域の5名の大学生にタブレットと毎月の通信料を提供しました。もちろんゲームのダウンロードは禁止!卒業する際には次の子ども達が使えるよう、無傷の状態で変換してもらうことをお願いしました。

9. Brother Philippines様よりプリンター10台寄贈

2021年7月8日

日本のブラザー販売様のプリンター10台とインクをパナイ島ランブナオ町に寄贈しました。LOOBと10年以上ワークキャンプで協働している学生NGO ALPHAの学生さん達が半年以上、計画を進めてくれました。4,000人の生徒数を抱える町内唯一の公立高校そして周辺の4つの小学校では、印刷設備が不十分かつ老朽化のため、プリント教材の制作が大幅に遅れ、プリント自宅学習に影響が出ていました。がプリンターの到着により、子ども達は教材を入手することができるようになりました。

10. 中高生ジュニアリーダーによる支援活動

2021年8月20日

中高生ジュニアリーダー育成プログラムの18名のリーダーが、コミュニティで衛生教育活動と物資支援を実施しました。CarloやMary Juneを中心としたリーダーが自ら企画し、小学生50人に対し、コロナの感染防止に関して情報を普及しました。また学生NGO ALPHA/Brother様から寄贈されたマスクや衛生キットの他、現地の方々から寄贈された絵本や栄養スナックなどを、参加した子ども達の世帯全員にお配りすることができました。